アメリカに引っ越したときのことを少し話しますね。
幼稚園の年長さんの途中で、どうやら遠くへ引っ越す…という雰囲気になんとなく気づいて。
でも「アメリカ」って国はまだ分からなかったのです、6歳には。
だって世界とか、地球とか、いろんな国があるとか、ここが日本とか。
そういう概念がまだないんだもの、幼稚園児には。
親がバタバタといろんな準備をして、幼稚園の先生とかお友達に「さようなら」ってご挨拶して。
飛行機に長い時間乗るよ!言われて、妹と飛行機でたくさん寝たり、折り紙で遊んだりして。
起こされて、飛行機をおりたら…見たことのない光景が広がっていたのを覚えてる。
肌の色も、髪の色も、目の色も違う。
見たことないくらい背が大きな人もたくさんいて。
何よりもビックリしたのが、まったく聞いたことのない言葉を話している人ばかり!!!
「ここは…どこ???」
6歳の私の頭の中は、ハテナでいっぱいだった。
先にアメリカに来ていた父親が笑顔で迎えに来てくれていて、見たことない車を運転していた。
運転する人の座っている席も逆だったし、窓から見える景色もすごく不思議だった。
建物の雰囲気も、街の雰囲気も、走っている車の形も大きさも…とにかく何もかも!
「着いたよ~ここが、これからのみんなのお家だよ~」
日本では見たことのない、大きな白い一軒家。
家の前にも、家のうらにも、大きな芝生のお庭があって。
家の中にもお部屋がいっぱい!!走り回れるくらい広い!!
湯舟とトイレが同じ部屋にあるし。
なんかよくわからないけど、とにかく初めてがいっぱいだった。
何日かしたら、学校に連れて行かれた。
「これからここがあなたの学校だよ」
そう言われて入った部屋には、自分と同じくらいの子どもたちと、先生であろう人がいた。
でもみんな、聞いたことない言葉をしゃべっている。
先生であろう人が自分を見て、優しい笑顔で何か言ってくれている。
母親は私にはわからない言葉を話してる。どうやら伝わっているらしい。
でも何を言っているのかわからない。
今でもそのときに強く思ったことを、よく覚えている。
「この人たちが話している言葉を覚えないと、ここでは生きていけないんだ」
ここから、私のアメリカでの闘いが始まったのです。
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